新設道の駅にジオラマを制作することになった経緯

平成30年春『道の駅(仮称)あったか・あいろーど』オープン

 平成30年春にオープン予定で、石狩市厚田区の国道231号線に『道の駅石狩 あいろーど厚田』が建設されることになりました。
 施設内には地場産品の販売・飲食コーナーのほか、周辺地域の歴史・文化・自然などを紹介する情報コーナーが配置されます。その情報コーナーの一角に、「北前船と鰊漁」というジオラマ模型を人形作家八田美津さんとの合作で制作させていただくことになりました。

 

作品制作の依頼に応え、北前船で賑わう明治の厚田の情景を再現

 厚田はかつて鰊漁で繁栄し、北前船が入港してにぎわった地域です。

 厚田村史(昭和44年 厚田村)には、弁財船入港でにぎわう古潭の情景が記されています。
「弁財船が日本海を盛んに往復したいわゆる全盛期は、徳川中期から明治中期なのだが、本村には大正初期ごろまで、来航していたらしい。蝦夷地・北海道へ移入したものは、味噌・米・醤油・塩・酒・麹・茶・煙草・呉服太物・綿・紙・蝋燭・石油(明治期)・金属器・漆器・ムシロ・ナワ・ロープ・魚網などであった。これらの生活必需品を積んだ船が入港するのを、この村の人達は、いわゆる宝船が入ってくるように待ちわびたことであろう。古潭の渡辺与之助氏によれば、古潭の押琴湾は深いので、弁財船がともづけ(艫付け)し、こどもたちは喜んで、はしゃぎ回ったという。(中略)こちらから弁財船に積み込んだ荷物は、鰊粕・身欠鰊・胴鰊・開鰊・干鮭・塩鮭・昆布・煎海鼠(イリコ)などである。」

 

厚田と私の関わり

 この情景が描写された厚田村古潭に、私は平成2年まで2年間、中学校社会科の教員として勤務しました。閉校の記念誌編集を担当し、地域の歴史を調査した際に、お年寄から弁財船入港の喜びを直接お聞きした経験があります。
 その後、平成13年から3年間、合併の時期をはさみ、厚田村立から石狩市立になった厚田中学校に教頭として勤務しました。厚田村最終の年に、弁財船による交易で結びつきがあった石川県門前町(現在は合併により輪島市)を、子ども親善大使派遣事業の事務局長として訪問させていただきました。事前学習として、子ども達とともに、厚田にやってきた弁財船の航路を探ることができました。
 石狩湾に面した学校には3校勤務しました。校長として浜益小学校に勤務して3年目の平成24年度に、石狩市は、はまます郷土資料館のリニューアルを計画しました。それまでに、子どもたちの「沖揚げ音頭」を指導するために、かつての鰊漁について聞き取り他かなりの研究をしていたので、文化財課の工藤課長から声をかけていただき、リニューアルにかかわらせていただきました。その際に、郷土資料館(旧白鳥番屋)の改修時に使った詳細な図面を見せていただき、番屋の模型を制作することになりました。番屋内部を見ることができるようにして、八田美津さんの人形と合わせた楽しい作品が完成しました。 
 この作品について、田岡市長さんは、石狩市ホームページ「市長の部屋/市長からのメッセージ(平成24年7月31日)」で、次のように紹介してくださいました。
「浜益在住の人形作家八田美津さんと浜益小学校長石黒隆一さんの訪問を受けました。旧白鳥番屋(市指定文化財)の20分の1の模型と、往時のニシン番屋の生活を人形で再現した、素晴らしい作品です。校長先生の奥様もミニサイズの調度品や家具を制作した3人による合作とのこと。浜益の女性たちで地域起こしのために開いた、レストラン「カフェ・ガル」の中に展示するそうです。これから更に外回りや、船などの制作を進めるとのこと。地域の子どもたちの学習に役立てる取り組みや、地域の宝を発信する取り組みが地域の誇りとなり、ポジティブ思考を生み出す起爆剤となります。」
 この年は、建物本体まで作って時間切れになってしまいましたが、その後、周辺の地形や建物、船や鰊加工の道具類などを作り続け、平成27年になって、最初の予定通り、沖揚げから加工まで鰊場の情景を完成させることができました。
 ジオラマとなったこの模型は、展示場所を郷土資料館に移し、子どもたちが学習する教材としても役立てていただくことができました。

 
 28年1月に、このジオラマ模型を、札幌の地下歩行空間に展示して、多くの方に注目していただく機会を持つことができました。

 会場にお越しくださった田岡市長さんから、あたたかなねぎらいの言葉をいただきました。
その際に、「・・・地域にこういう魅力ある作品を作る方がいるのだから、知恵を絞ってお願いして、そういう力を道の駅に反映できるように・・・・」と、道の駅にかかわる市職員の皆さんにアドバイスされる市長さんの声がそれとなく聞こえてきました。

 今回、道の駅にジオラマを展示させていただくことは、以上のような経緯で、いつの間にか既成事実になってきました。
 ジオラマ模型の基本的な構想は、冒頭に紹介した港のにぎわいと「宝船を待ちわびた」という人々の喜びを表現することです。八田美津さんの表情豊かな人形と、つれあい石黒美香子の色彩感あふれる小物を組み合わせ、楽しい雰囲気の作品を作る条件はそろっています。やるからには、全力を尽くして、白鳥番屋ジオラマの続編となる作品を制作したいと考えています。